あれから50年・・・ [minicar]
来年は、初めてミニがモンテカルロラリーに勝ってから50年目だそうです。
なんでもお祝い事に結び付けるのもアレですが、
一応記念と言うことであちらではイベントがあるようです。
もちろん、BMWのお祝い事になるんでしょうが・・・(笑)
かくいうワタクシも齢60歳を迎えた折には、たくさんの仲間たちに祝っていただき、
とても素晴らしい思い出になりました、ってこういうのでしょ節目・・・ってね(笑)
と言うわけで、今回はミニを一躍有名にしたの栄光の歴史の巻です。
ミニ界のレジェンド、パディ・ホプカークのサインを頂いたサンバイザーの上は、
それぞれパディゆかりのマシン達です。
ちなみにこのバイザーは我が家の“家宝”です(笑)
レーニエ大公と今は亡きグレース妃列席のもと取り行われた表彰式。
右端にちょこんと顔を出している37番のミニが晴れがましいです。
正装したパディ・ホプカークとヘンリー・リドンのドヤ顔もいいですねぇ(笑)
話は’62年に戻ります、それまでの850に代わってやっと投入された997ccのクーパーでしたが、
当時はV8、5000ccのファルコンなんかも走っていたモンテでは非力に見えたでしょうね。
ターマックでは勝負にならなくても、すでに雪道では侮れないチカラを見せ始めてました。
この304番はパット・モス、アン・ウィズダムのペアがレディース1位、クラス7位になりました。
パット・モスは伝説の名ドライバー、スターリング・モスの妹で、
当時女性ラリーストの中ではダントツの速さでしたが、
総合26位のミニのあまりの“遅さ”には正直イラッと来てたみたいです(笑)
翌’63年は満を持して1071クーパーSがおなじみ赤/白ワークスカラーで登場します。
288番ラウノ・アルトーネン、トニー・アンブローズが総合3位、クラス1位になり、
モンテに強いミニの片鱗を示します。
ワークスが本腰を入れたおかげでスピードも手に入れたミニは、
“勝てる”クルマとしてラリースト達の注目を浴び始めました。
同年のRACラリーでもパディ・ホプカーク組は総合4位、クラス2位の成績でした。
そしてホプカーク、リドンは’64年のモンテを制し、いよいよミニの快進撃が始まります。
ゴール後でしょうか、パディにも余裕の表情が伺えます、
それにしても頑丈そうなアンダーガードが付いていますね。
翌‘65年はティモ・マキネン、ポール・イースターが1275Sで勝ち、
ミニはますます速くなり、その実力を盤石のものとしていきました。
一方で、ミニが勝ち続け多くのアマチュアドライバーもミニに乗り換え、
もはやどのラリーも上位をミニが占めることを苦々しく思う人達もいました。
もちろんメーカーとしては販売台数などへの影響ももちろんですが、
今と違いかなりナショナリズムの強い時代でしたから・・・
それぞれの参加国のメーカーにも勝つチャンスを与えなければならないという、
主催者側の事情なども絡んで、ミニ以外の勝者を望む声も聞こえていました。
そんな中、’66年のモンテはミニの1、2、3フィニィッシュと言う最高の結果で終わった・・・
はずでしたが・・・ここへきて主催者側は考え付くすべての“言いがかり”をつけて、
なんとか規則違反でミニを失格にしようとしたんですね。
表向きはヘッドライトの上下切り替えが出来ない、と言う違反でしたが、
これとて他のメーカーには事前に通達されていたと言うし、
チェックポイントのオフィシャルは通過するミニのライトが、
スタート時のものから替えられていないことを確認していたのです。
もちろん、ゴール後のために・・・
もはや作為的とも思える方法で、思い通りにまんまとミニを失格に追い込んだのです。
結果として3台のミニに続いてゴールした、このシトロエンDS19が“勝者”となったのです。
しかしドライバーのパウリ・トイボネンは、この仕掛けられた勝利をよしとせず、
表彰式をボイコットしたということです、漢ですねぇ・・・(笑)
トイボネンの名でわかるように彼の息子は、あの夭折の天才ドライバー、ヘンリ・トイボネンです。
この一件のせいで、モンテカルロラリーの“格”は著しく落ち、
翌年の参加を見送るメーカーもある等、世間の目は厳しいものでした。
ただ、皮肉にもフランスにおけるミニの販売台数は飛躍的に伸びましたが(笑)
そして‘67年、苦労の末にトップでゴールしたミニのルーフには“例”のキャリアが・・・
この年新たな規則として、
「ひとつのステージで使用するタイヤは最大8本、しかも競技車に搭載されなければいけない」と、
ミニは最低でも4本のタイヤを積んで走らなければならず、
どうせ、あの小さな車体にそんな場所はないだろう・・・と、主催者側は、
どうしても負ける気配の無いミニに、ならばとこの有効なハンデを課したのですね。
ミニライトのマグネシウム合金製の超軽量ホイールやパイプで出来たルーフラックは、
この規則に合わせて開発されたものなんですね。
以来、ミニのアクセサリーとして有名なルーフラックがモンテラックと呼ばれる所以です。
このルーフラックにも何種類かあったみたいで、
必要最低限の本数のスペアを積んで走り、
ステージ終わり近くではホイールもろとも捨てて走ったそうです。
後からサービスカーが集めて回ったのかなぁ・・・もったいないもんね(笑)
’68年はワークスエントリーのアルトーネンがなんとか3位にくいこんだものの、
ヒタヒタと迫りくるラリーの高速化にはミニとはいえ小排気量車には辛いものでした。
この年の勝者は、ヴィッグ・エルフォードのポルシェ911Tでした。
RRのポルシェも駆動輪にトラクションがかかる事から、雪道にはとても有利でした。
何故911“T”かと言うと、当時廉価版のTは省かれた装備などにより車重が軽かったからです。
これにレギュレーションで許されていたチューニングしたSのエンジンを積んだのです。
’69年はさらにチューニングが進んだ911Sでワルデガルドが制し、
この年を持ってミニのワークスラリー活動は縮小に向かいます。
’70年もワルデガルドが連覇してモンテ未踏の3連覇を達成します。
この後はポルシェ、アルピーヌ、ランチアHF等新しい世代のラリーカーの時代となるのです。
ちなみにミニが35周年の記念行事の一環としてモンテにチャレンジした時は、
パディ・ホプカークはナンバー37の’94インジェクションミニで参加しました。
パディはミニのラリーカーをいたく気に入り、
生産が終わる時には是非最後の1台が欲しいと言っていたそうです。
それがインジェクションのクーパーだったのかは不明ですが・・・
2013-10-20 21:46
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コメント(10)
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いつの世の中も出る杭はうたれるんですね。 1967~8年頃でしたか東京モーターショウにミニ・クーパーSが展示された時、本物を見た時の衝撃は大変なものでしたよ。
by conta (2013-10-20 23:15)
楽しく読ませていただきました!
また、拙の企画したあの日のイベントを
再度ご紹介いただき感激しきり・・・(笑)
今もその第2回を妄想中であります。
自分が乗っていない今こそ出来る気もしてます。
ミニのラリーでの活躍は、断片的に伝えられる部分が
多く、はじめての方には解りにくいです。
こんな解りやすいヒストリーがありましたでしょうか?
ここにリンクを張れる記事を書きたいものです!
過ぎた夏はピースとハイライト、ところで九州のセブンスターは?
by ちんたん♪ (2013-10-21 23:06)
垂涎のミニのモデル達・・眼福でございます!
by ロンツー (2013-10-22 06:18)
contaさん
何のスポーツでもそうですが、あまりに勝者が同じだと、
次第に興味が薄れると言うことがあります。
特にモータースポーツのように“道具”の優劣が、
勝敗を左右するような場合はなおさらですね・・・
モータースポーツではコストパフォーマンスの良かったミニも、
’60年代の日本では、まだまだ高根の華でしたね。
同年代のミニオーナーも当時はクラウンとほぼ同じ価格で、
とても買えなかった・・・と、言うのが定説ですね(笑)
by 1275GT (2013-10-22 22:59)
ちんたん♪さん
いつもコメント有難うございます。
本当はサイドストーリーも面白いのですが、
今回はコレクション中心のモンテ・ストーリーです。
例の“企画”は第2回も開催予定なんですか?
都内は見えているのにあそこに行けないという(笑)
あれがいやですね・・・
で、都内はもっぱらメトロです。
と、上手く「鉄」に持ってきたでしょ(笑)
さすがに、あまりの高額によだれを流すのみですが、
奥さんは一泊38☆のコースなら・・・なんて恐ろしいことを言います。
by 1275GT (2013-10-23 13:03)
narup-4さん
いつもnice!有難うございます。
by 1275GT (2013-10-23 13:06)
ロンツーさん
有難うございます。
この時代のコーギーが一番好きです(笑)
始めて買った“外車”のミニカーがミニだったりします。
その頃は、まさかこんなにドップリの人生になろうとは・・・
この間、「中中」の美人ママのお父上(クーパーガレージの社長)に、
はるばる修理に来てもらいました。
80キロも離れているのに、なんかしょっちゅう来てもらっています(笑)
by 1275GT (2013-10-23 21:14)
お知らせです。
つんじさんの政治力もあって、なんとかMINIDAYに前宿が出来そうです。
師匠から継承中の「怪しい」商いも、もちろん頑張ってきます。
全国のminiフリークな方々に出会うのも楽しみですが、
マニアックなBeatlesフリークに出会うのも楽しみです。
帰ってきたら、いよいよ生きる伝説の一人に東京ドームで会えますね。
その前にBMCの皆さんで反省会もやらないと・・・。
by スタンダード (2013-10-28 13:17)
スタンダードさん
当日のステージから宿まで、すべて揃ったVIP待遇じゃないですか(笑)
お天気もよさそうだし、頑張って来てくださいね。
ミニに乗っているヒトはだいたい変わっているので(笑)
思いもかけないものに刺さります。
しかしひとりだとフリマは辛いです、無駄遣いはしませんが(爆)
by 1275GT (2013-10-30 12:41)
anakinさん
いつもnice!を頂き有難うございます。
by 1275GT (2013-10-31 21:57)