ミニカーを眺めながら (ランチアとアバルト) [minicar]
それぞれの事情によりミニは2台とも乗ることができず、いわば両翼をもがれた状態です。
なーんて言ってどうせあっても乗らないんでしょ、っていうツッコミは無しで・・・(笑)
今回は多忙なので、書きかけ途中のネタにちょっと手を加えてスタートです(爆)
相変わらず、長~くなっちゃったんで読み飛ばしてくださいね。
久しぶりのミニカーネタは大好きなアバルトを眺めながら、
相変わらずいい加減な“うんちく”を書き連ねますが、間違った記述があっても御許しを・・・(笑)
精悍なルックスがひときわかっこいいランチア037ラリーです。
正式名称はランチアラリーというのですが、アバルトの型式番号SE037から、037ラリーと呼ばれていますね。
ゼッケン①はhpi-racing、サファリ仕様はIXO、その他はビテス、大きいのはブラーゴです。
037ラリーはランチアベータモンテカルロのセンターモノコックを使い、
前後に専用のスペースフレームを設けた構成です。
当時のグループBは、連続した12ヶ月間に同一モデルを200台生産すれば、
その中の20台をラリー用にチューニングすることが許されていました。
エンジンは低速からのトルク重視のために、スーパーチャージャーで過給されていました。
ストラダーレと呼ばれる市販のモデルも、ピニンファリーナによる流麗なデザインと、
優れたハンドリングで今でも人気がありますね。
日本にも当時のディーラー(GARAGE伊太利屋)によって数台が輸入されたようです。
これはグループ5の時代のベータモンテカルロのレース仕様ですが、
エンジンはアバルトが手掛けたといわれていますね。
グループ5でチャンピオンを獲ったマシンですから、シャシーも素性はよかったんでしょうね。
手前のテストカーはBEST、ゼッケン⑲はMDS Rscing製です。
アバルトSE030、これこそがランチア・ベータ・モンテカルロの元になった、2座席ミッドシップのプロトタイプです。
ピニンファリーナとアバルトが作った、V6エンジン縦に積むこのマシンは、
「ジーロ・デ・イタリア」を勝つためのマシンでしたが、後の037に大きな影響を与えました。
ポリスティルの方はベータ・モンテカルロに手を加えただけのお手軽なバリエーションですが、
実車は手前のバルルーニのキット完成品のような、迫力のある外観をしていました。
一方レースの世界でもアバルトは、グループ6のランチアLC-1やグループCのLC-2等を送り出しています。
モデルはLC-1がMDS Rscing、LC-2はスパークです。
本格的なグループCマシンが間に合わなかったアバルトが、モンテカルロ・ターボのエンジンを、
アルミモノコックに載せ、風洞から出てきたばかりのようなヌメッとしたボディを被せたマシンですが、
ポルシェが満を持して登場させた、グループCの956と互角に渡り合い、
即席で仕上げたマシンとは思えぬほどの活躍を見せました。
もちろんグループ6なので、メーカーズタイトルとは関係ありませんが・・・
FISCOで行われたWECインジャパンにもやってきて、1.4ℓのターボながらその形と軽さから、
見事なまでの“直線番長”ぶりを見せ,見事ポールを獲りました。
しかし、ドライブにはかなりの“腕”を要するようで、当時売出し中のF1ドライバー、
ミケーレ・アルボレートをもってしても、クラッシュしてしまうほどシビアなマシンだったようです。
翌年、何とか間に合わせたLC-2はフェラーリのエンジンを積んだ本格的なグループCでしたが、
結局目立った成績も残せずに、前年驚くほど快走したLC-1程印象には残りませんでした。
さて、ラリーの世界ではアウディクワトロをはじめとして、もう4駆でなけりゃ勝負にならないほど、
より高性能な4駆マシーンの開発を早急に求められていました。
アバルトが出した答えはアバルトSE038ことランチアデルタS4です。
⑦がIXO、ゼッケン201の初期型がMDS Rscingです。
もはや市販車のデルタとな何のつながりもない、専用のモノコックを持つミドシップの4駆に、
ターボとスーパーチャージャーで武装した、当時では最強と思われるマシンでした。
あまりの高性能は、やがてグループBそのものの寿命を短くしてしまうのです・・・
次第にエスカレートしたマシンの開発費や、ほぼ手作りに近いマシンを、
連続した12カ月に、200台売らなければいけないレギュレーションも、
メーカーにとってはかなりの重荷になっていたようで、
グループBより規制の緩い、競技専用ともいえるグループSの新設に流れが向かっていきます。
“ストラダーレ”のデルタS4、赤はIXO、白はPALMA43ブランドのIXOです。
来るべきグループSを見据えて、いち早くアバルトが試作したランチアECV1です。
もはやシャシーから足回りまで、デルタとはまったく違いますが、
全体のフォルムをそれらしく見せて、なかなか迫力のあるかっこいいデザインです。
モデルはビザール。
さらにアバルトは空力や軽量化にも改良を重ねた、ECV2を発表します。
ホイールまでカーボンという徹底ぶりです。
これもモデルはビザール。
S4の出遅れでタイトルを取り逃がしたランチアは、グループSに向けて意欲的にマシンを開発していました。
ところが、一般道を走るには性能的に極限まで行き着いた感のあるグループBのマシンは、
相次ぐ事故でドライバーや観客にまで犠牲者を出し、ランチアもエース、トイボンネンを事故で失ってしまいます。
急きょ、翌年からのチャンピオンシップはより生産車に近いグループAで行われることに決まります。
ここでもアバルトはいち早くランチアデルタHF-4WD(左)をデビューさせます。
やがてデルタ・インテグラーレ、そして16バルブエンジンになり(右)、
最後はスーパーデルタといわれ、前人未到のWRC6連覇を達成する偉大なマシンとなりました。
モデルはビテス。
当然ワークス以外にも有力なプライベーターの存在という助けもありました。
次第に過激になっていく外観がよくわかりますね。
右の1台のみデルプラド改、あとはビテス。
ちなみに、インテグラーレは生産数の半分近くが日本に向けて輸出されており、
今でも、程度の良いインテグラーレはその多くが日本にあります。
まるでボディのサイズが一回り大きくなったような感じですね。
右のエヴォルツォーネはビテス、左はSKID。
’71年にフィアットに吸収されてからのアバルトは、
上記ランチアや、アルファロメオのコンペティション部門を手掛け、
やがて’97年に正式に解散した後も大フィアットの中にあって、
数々のプロジェクトにたえず熱い血をたぎらせ、
やがて’07年に正式にブランドとして「アバルト」の名も復活したのはご存じの通りですね。
では、アバルトを名乗らない変わり種を数種・・・
フィアットチンクェチェントトロフィオという名のワンメイクラリー用のチンクェチェントスポルティング。
小粒ながらもピリッとスパイスが効いた、マイクロスポーツですね。
モデルはビテス。
これは当時F1の前座に行われたプロカーレース用のアルファ164。
プロカーと言えば発売前のBMW M1を使ったレースが有名ですね。
現役F1ドライバーも参加して繰り広げられたドッグファイトが楽しみでしたが、
BMWは宣伝効果は十分と見たのか、数年で中止されてしまいました。
このアルファ164はなんとリヤシートのあるべき場所に、V10の3.5ℓが載っています。
ボディ形状を見てもトレッドは変わっていないので、リヤから見るとナローデフのドラッグスターのようです。
もっともボディと中身は全くの別物で、外側が164のカタチをしたボディカウルということです。
結局、諸般の事情で開発は中止になり、プロカー構想もなくなってしまったのですが、
それにしても、こんなマシンが群れをなしてコーナーに飛び込むところは凄かったろうなぁ。
モデルはスパークです。
あのフェラーリもフィアットグループの一部門ということは・・・
この575GTCもアバルトが開発したマシンです。
モデルはIXOです。
モータースポーツが競技である以上、結果を出さないと認めてもらえない厳しい世界で、
どんな戦いの場でも、いつもトップを目指すアバルトの測り知れない凄さ・・・
日本のメーカー、いや日本人には絶対無理なものなんだろうと思う。
2011-01-15 20:20
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アバルトの歴史、満腹になるまで堪能させていただきました♪
コレクション、知識ともに、並々ならぬものですね!
これだけ撮影するとなると、箱の出し入れだけでも大変では。
拙のしょぼいブログでさえ、撮影の後片付けが面倒で、部屋がすぐ魔窟に(汗)
> インテグラーレの生産数の半分近くが日本に向けて輸出
驚きました。確かに私も好きですが・・・なんで、こんなにって感じですね。
by ねこざかな (2011-01-16 03:18)
毎度のことながら、1275GTさんのコレクター魂に脱帽です。
これ程までに思い入れ出来るモノ・ことが、私にもあったらなぁ~
ところで、今春に発売予定のデジタルカメラ『Fuji x100』も、気になって仕方ない今日この頃です(苦笑)
by ベアトラック (2011-01-16 06:46)
昔のボックスは、それはそれで気を使いますが、
最近のプラケースは台座から外すのもひと苦労です(笑)
中には特殊な頭のビスを使っているものもあり、
専用のドライバーを買いました。
あちこちから出してきて撮影するのですが、
元に戻すのが億劫で、つい段ボール箱に入れたままです。
たぶんもう二度と陽の目を見ないのもあるかと・・・(笑)
日本では、ミニよりミニクーパーの方が通りがいいように、
デルタもデルタ・インテグラーレのネームバリューが勝っていますね(笑)
最後は日本向けの「コレッツィオーネ」で生産を終えています。
by 1275GT (2011-01-16 17:55)
ベアトラックさん
御帰りなさい。
いきなりの除雪で、どっと疲れが出たんじゃないですか(笑)
今朝は、こちらでも今年初めて白いものが舞いましたよ。
今回のミニカーの撮影はテストも兼ねて、
D-40にシグマ10-20mm F4-5.6 EX DC HSM ですべて撮りました。
妙にミニカーが間延びして見えたりするのもそのせいです(笑)
もともと“銀塩”の頃から広角は好きでしたので、
これからも多用すると思います。
ただ、レンズの重さはやはり感じますね。
今はネットに情報が溢れているので、買い物は逆にとても悩みますね。
まぁ、悩んでいるうちも楽しいんですが・・・(笑)
by 1275GT (2011-01-16 18:36)
時よりミニカーショプに行っても
ある特定の車しか見ないので
あんな車もこんな車もモデルになってる
んだな~って今更ながら・・・(笑)
奇麗な写真と素人にも解りやすい
解説は今年もキラリと光りますね☆
勉強になりました・・・がそれを記憶
しておくのは無理です(爆)
思い出したらここに来よう♪
by ちんたん♪ (2011-01-16 23:34)
ちんたん♪さん
最近はマニアも知らないようなクルマまで、しっかりモデル化されています。
需要を読んでか生産量も少ないので、買い漏らすとやっかいですよ(笑)
脳の中のクルマの情報が年々欠落していくのを感じて、
記憶がすべて消滅して、クルマに興味を失ってしまわないうちに、
グダグダとうんちくを書き連ねてみたいと思っています(笑)
少しは自分の時間がとれるようになったのですが、
今のところミニネタが書けないのが辛いですねぇ
by 1275GT (2011-01-17 12:42)
こんばんは。やっぱりミニカー(完成品)は、様々なモデルがキット化されていますね。模型派にはうらやましい限りです。
by komakura (2011-01-19 01:11)
komakuraさん
そうなんですよ、ほとんどなんでも有りの状態ですね。
それだけに、物欲と戦うのが大変です・・・(笑)
1台だけしかないプロトタイプや、幻のレーシングカーなんて、
ミニカーでもいいから、手元に置いておきたいと思うと、
自分のような“病気”のマニアにはカラダに悪いです(爆)
by 1275GT (2011-01-19 08:24)
一車種だけでも星の数ほどあるのにく、メーカー別に見ていくと、ミニカーは銀河系の数ほどありそうですね。
最近は、金型の作りが良くなったせいか精巧なモデルが増える一方、いかにもマニア狙いのうさんくさいモデルも出てきてますから、ホントにきりがなくて…。ましてやGTさんならピンポイントのモデルがゴロゴロしていそうです(^^ゞ。
どこまで続く、ぬかるみぞ、…ですね(笑)。
by たけさ (2011-01-19 12:41)
たけささん
結構自分なりに知っているつもりでしたが、
まだまだ面白いミニカーがいっぱいあるんですよ(笑)
ミニだけに絞っても、それはそれでまた奥が深いですね。
限られた予算で買えるのはほんの一部ですが・・・
最近は新しいメーカーの商品に、どうしても目が行っちゃいますね。
昔だったら、マイナーなガレージキットしかなかったモデルも、
今は出来のいいミニカーになっていますからね(高いけど)。
ぬかるみは予想以上に深そうです(笑)
by 1275GT (2011-01-19 21:43)
ネット情報をくまなく検索中です(笑)
まずは、オリンパスPENと(パナソニックの)パンケーキレンズのセットにしようか、最終検討段階です。
『Fuji x100』は、コンデジ代わりに使うには、ちょっと無理がありそうで・・・
by ベアトラック (2011-01-20 06:50)
ベアトラックさん
確かに『Fuji x100』は1眼レフのカタチをしていますから、
コンデジのようにポケットに・・・というわけにはいかなそうですね。
実を言うとPENは発売時に自分も悩みました(笑)
店で実物を見たり、使っている友人にも聞きましたが、
なかなか使いよさそうですね。
ただ、ストロボが内蔵されていないのはちょっと不便かな。
手ブレ防止機能が付いているので、
明るいレンズなら自然な感じの画像が撮れるのでそれもいいかも・・・
巷では後付けのEVFが話題ですが、液晶が見づらいんでしょうかねぇ。
あぁ、ひとの買い物だとどうしてこんなに熱くなるんだろう(爆)
by 1275GT (2011-01-20 08:43)