続・あの時君は若かった [MINI]
全くのドンガラ状態のミニを見て、これが果たして走るようになるんだろうか・・・と?
不安と期待の入り混じった妙な感じでした。
だって、こんなプラモデルの箱を開けた時のようなクルマを買うなんてことは初めてでしたから(笑)
とりあえず、工場の手順を見てかかってもらうことにして、なんて言っていたその年の夏、
とんでもないことが起きてしまったのです。
実は、最初に運び込んだボディと、いくつかの段ボールに入ったパーツ以外は、
まだ譲ってもらった前オーナーの元に残っていたのです。
この年、栃木県北部を襲った大水害は、某女性歌手の別荘が流されたことでも話題になりましたが、
このクルマの残りのパーツはすべて水没、あるいは失われてしまったのです。
これは偶然にもボディ内に残っていた、オリジナルのメーターです。
本来3連のカウルに収まるのですが、それは失われていました。
これはある意味、自分のなかで思い描いていたミニを実現する決心につながりました。
もともと、このGTはチューニングカーにするつもりでしたから、
修復に時間や手間のかかるパーツ、失われてしまったパーツは、あっさりあきらめ、
部品取りの高年式ミニから移植することにしました。
もともとヒストリーのあるミニでもないので、思い切り自分好みに仕立ててもらうことにしたのです。
結果的に、ほとんど新しいミニを1台組むほどの、手間のかかる仕事になっちゃいました。
OT誌 No49 ’99年12月号より
これは当時の「オールド・タイマー誌」ですが、小さな写真といっしょに、
「ボディとエンジンブロックから再生した1275GT」とあります。
そうです、結局使ったのは年式相応に痛んだボディと、
当時、丈夫なことからレース用エンジンにも使われたGTブロックのみだったのです。
どうせなら・・・どうしてもそう思ってしまうんですよねぇ(笑)
ボディ、塗りました。
頭の中に純正のこの色があったのですが、板金屋さんにエンジンルームを試し塗りしてもらい、
もう少し明るくなるように、オレンジを強くしてもらいました。
塗りあがった日は、何回も遠くから見、近寄って見、何枚も写真を撮りました(笑)
この年の暮れですが、確か年賀状の写真用にグリルを仮に付けて撮ったものです。
ボディにかけてあったカバーを外して撮ったんでしたね(笑)
パーツのめどがつき、足回りを組んでいるところです。
サブフレームは部品取りから移植して、強化ラバーコーン、Cパーツのロアアーム等、
こだわりのパーツが組み込まれていきます。
リヤ回りも作業が進んでいます。
サブフレームは、もちろんリジッドマウントです。
バンパーやオーバーライダー、ライト、ウインカー等の取り付けは自分でやらせてもらいました。
英国からミニのパーツを個人輸入されている方に頼んで、いくつかは取り寄せましたが、
ウインカーアッセンブリーやサイドマーカーは国内でそろえることができました。
どうしても出ないフロントバンパーは、“エクセレントコンディション”という中古パーツを、
英国から取り寄せましたが、結構サビていたりして、考え方の違いを感じましたね。
電機系の配線は、やはりプロの領域ですね。
取り回しや順序もすべて手慣れていて、とても鮮やかでした。
自分はつい手軽な圧着端子を多用してしまうのですが、
社長は、ハンダ付けと収縮チューブを使用していたのがとても参考になりました。
リジッドマウントのサブフレームは振動が凄いので、確実な結線の方法なんですね。
タイヤがついて、いよいよミニらしくなってきました。
ガラスも入り、外装パーツも付いたんですが、まだエンジンが・・・
シートはイノチェンのシートをベースに張り替えたものを使いました。
色やデザインはとても気に入っています。
フロントガラスは上部にボカシが入った、国産のものです。
ハコスカGTRのレースカーが使用していたような感じで、好きなひとにはとても貴重なパーツです(笑)
ヘッドがまだ決まらないですが、もう一息です。
結局ヘッドはスイフチューンのチューニングヘッド(燃焼室容積19cc)を入手できました。
エンジンの中身はかなりレース仕様に近いもので、予算の半分以上をかけてしまいました。
だいたい考えられるようなところは、すべてに手が入っています。
そのためにパーツの入手に時間がかかったり、加工が必要だったりして、
作業の待ち時間がかかったこともあります。
お宝、スミスのクロノメトリック(機械式)タコメーターも付きました。
3年と8カ月の時間をかけて、“あの”ドンガラが無事走るようになりました。
ボディとエンジンブロックだけ、という特殊な事情にも関わらず、
自分のわがままをかなえてもらい、思い描いていたGTになりました。
その後、ミッションをよりクロスしたものに載せ換えたりして、
少しずつ“レーシングカー”になっています、ナンバー付きのね・・・(笑)
2010-07-19 23:51
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コメント(25)
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乗りっぱなしで、廃車になっていくMiniが多い中で
1275GTさんに巡り会えたMiniは幸せものですね♪
ますますいつかそちらに見学に行かなければ!!って
思ってしまいました。
by Teru (2010-07-20 12:58)
人に・・・いや、Miniに歴史あり!
素晴らしいですね、もう何も思い残すことは
ありませんね、ここまでやってあげれば。
思えば拙のTJの時に、後方より独特の
エクゾーストノイズを響かせていたのが
最初で最後のご対面ですか?ね。
今度の日曜は、数年振りの「ご本尊」対面!
楽しみにしています♪
えっ?Teru会長も来るんですか?
by ちんたん♪ (2010-07-20 22:46)
水面下で進行?していたGTガレージ奇襲作戦も、公開作戦で遂行されることになりました(笑)
会えないんであれば、会いに行ってしまえ!ですみませんが、楽しみにしております。もちろんご迷惑お掛けしないように。
しかし、こりゃすぐに帰れそうにもありませんね(笑)
by 道楽オヤジ (2010-07-20 22:55)
お久しぶりです。
こないだ絶景の記事とかにもコメントしたつもりだったけど消えてましたw
けどあの「絶景」は自分の家から2時間ほどで行けるんですが、あるのすら知りませんでした。そして感動できる心が果たして自分にあるのだろうか?と考えさせられました。もっと回りをじっくりよく見ようと思いましたw
それと前の記事の事になりますが、全オーナーの写真を現オーナーが持ってるってなかなか珍しいケースなんじゃないかと思いました。自分のクラブマンも前々からガレージミニの社長にどんな経緯で所沢まで来たのか聞こうとは思ってるんですが、いつも忘れてしまいますw
1275GTさんのクラブマンはドンガラから作られたんですね。
昔はよく札幌のガレージミニに毎日のように通っていたので、ドンガラから完成まで1日1日完成していくMINIを見るのが、自分のMINIではないんですが楽しかった記憶があります。
と長々と失礼しました。あまりコメントしませんが毎日のようにチェックさせてもらってます。これからもよろしくお願いします。
by 三代目 (2010-07-20 23:23)
パーツ流失で茫然自失、意気喪失・・・となりそうなところが、世界にひとつだけのMINIをつくりあげるブースターになさったところが素晴らしいですね!
ボディとエンジンブロックからの再生・・・しかも理想のカラーとパーツを組んで。一瞬、プラモデルやRCみたいと思いましたが、よく考えれば、それどころの労力と情熱ではありませんね。いや、ほんと、スゴすぎる・・・。
by ねこざかな (2010-07-20 23:45)
去年の4月のミニマーコスのグログに初めてコメント入れさせてもらったものです。
この1275GTナンバーからいうと春日部付近にお住まいですか?
私たちは行田で毎月第3日曜日蓮会と言う名のギャザリングイベントやっています。http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1540779745&owner_id=11793456
お近くのようなので今度機会があったら是非お立ち寄りください。
by エランインブルー (2010-07-21 16:48)
Teruさん
自分にも過ごした時間があるように、
このミニが、どこからどうやって自分のもとにやってきたのかに、
とても興味があるんですよ。
今度の日曜日に、BMCの連中にガレージジャック?されそうです(笑)
Teruさんも・・・来ます?(爆)
by 1275GT (2010-07-21 20:16)
ちんたん♪さん
思えば、あの時以来トラブル続きで、満足に乗っていませんね。
ここ半年ほど“里帰り”させていて思ったのですが、
さすがにここまでいじってしまうと、ご本尊様に近いですね(笑)
走らせているだけで、なんかご利益がありそうな・・・(爆)
十分に拝んでいってください(無料)
GTの前に賽銭箱でも置いておきましょうかねぇ?
by 1275GT (2010-07-21 20:31)
道楽オヤジさん
もともと稼働率の低い我が家のミニですから、
走っている姿を見た人は、ほとんどいません(笑)
おまけに、今年は体調不良や何やらで、
数少ないチャンスも逃してしまったし・・・
しかし、過度な期待はしないでくださいね、
ホント粗大ごみの集積場所みたいな車庫ですよ(笑)
by 1275GT (2010-07-21 20:48)
三代目さん
ご無沙汰です。
日々暮らしている人たちは、もう慣れているのでしょうが、
年に一度の旅人には、見るものすべてがとても興味深いです。
“来年は”また道東まで足を延ばしてみたいですね(笑)
この写真を探してくれた前オーナーさんとは、
偶然一度お会いしたことがあります。
なぜ、もっといろいろ聞いておかなかったのか、後悔してます。
そんなことを覚えていてくれたのでしょう・・・
少し黄ばんだ数葉のカラープリントは自分の宝物です。
このGTを譲ってもらった方は、全部自分でレストするつもりで、
ほとんど粉々にバラしてありました。
諸事情が重なり、本当にパーツ難には悩まされました。
したがって、かなりの部分がノンオリジナルになっています(笑)
自分もいつも楽しく読ませてもらっていますよ。
こちらこそよろしく。
by 1275GT (2010-07-21 21:27)
ねこざかなさん
乗りかかった船とはいえ、ちゃんとカタチにしてくれた、
クーパーガレージの社長には感謝しています。
半端じゃなく面倒で、労力のいる仕事だったでしょうに、
最終的にはリーズナブルで、納得のいく金額でした。
でも、考えてみたら、オーダーで1台作ってもらうなんて、
人生でそうあることじゃないですよ。
俺って、金持ち?・・・の気分は十分です(笑)
by 1275GT (2010-07-21 21:42)
エランインブルーさん
コメントいただきありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
春日部市内ではありませんが近隣です。
蓮会のことは知り合いのT井さんからよく聞いています。
とても興味があります、今度伺わせて頂きますね。
by 1275GT (2010-07-21 22:22)
ついに完成ですね。
まさに、1つ1つのパーツに思いが込められていて、すごいです。
そして、クーパーガレージさんも含めて、GTさんの周りにそういう方々がいらっしゃるということもすごい!
今度、ゆっくりと見せてください。
by JUN (2010-07-22 09:22)
>こんなプラモデルの箱を開けた時のようなクルマを買う・・・
見事な表現に nice! を。
人にもクルマにも歴史あり、ですね。
by ベアトラック (2010-07-22 20:26)
JUNさん
一部雑誌の記事を引用しましたが、
宇都宮界隈は旧車趣味の宝庫です。
縁あって通い始めて、もう20年近くなります。
旧いミニの特殊なパーツも、探せば必ず出てきます。
自分より7歳年下のクーパーガレージの社長にも、
長生きして最後までお付き合い願いたいものです(笑)
by 1275GT (2010-07-22 21:50)
ベアトラックさん
遠くからありがとうございます。
窓ガラスも、シートも、エンジンもない白いボディを買ったのですが、
4年近くも楽しい夢を見せてもらいました。
完成品より良い買い物だったかも・・・
by 1275GT (2010-07-22 22:00)
おそらく「クルマ好き」の人には共通することなんでしょうけど、自分の思いを具現化する道具である車が、あたかも自分の分身のように進化していく過程は、様々な角度から引きつけるものがありますね。
うちのカントリーマンも、オーダーから納車まで3年かかりましたけど、現地からの(小出しの?)情報に一喜一憂しながら待っているのもそれなりに楽しかった思い出があります。
そのうちGTの疾走する姿を見せてくださ~い(笑)。
by たけさ (2010-07-23 00:03)
たけささん
“ドンガラ”を買った時から、いや、買おうと思った時から、
頭の中はどういう風にしようか、もう毎日悩んで(楽しんで)いました(笑)
もちろん、予算の関係で出来なかったことも多いですが・・・
徐々にカタチになっていく様子を、80キロのかなたとはいえ、
実際見ながら、ときには手を出しながら(笑)、
時間さえ楽しむことができたのは、望外の幸運でしたね。
今は水温の上昇と、炎天下の外出禁止(ドクターストップ)のため、
あまり走っていませんが、早朝の散歩はしています。
トップの写真は某イオンのそばのお医者さんですよ。
知ってますよねぇ・・・羽幌のキハ22、あれ「鉄」じゃなかったですよね(笑)
by 1275GT (2010-07-24 09:56)
プラモデルではなんとか時間をかければ見栄えだけ考えて
なんとかできそうですが。
実車でこんなことをしてしまうとは情熱があってこそですね。
by いっぷく (2010-07-25 06:28)
いっぷくさん
実際に作業して頂いたのは、信頼できるウチのミニ達の主治医ですが、
時間をかけて作り上げた自分の宝物です。
10年たった今でも、まだまだ楽しめるのが嬉しいですね。
by 1275GT (2010-07-25 18:14)
遅くなりました。こういうレストア日記(記録)読むのは大好きです♪
オーナーの愛を感じます。ギターも愛さないとダメですね(反省)
by komakura (2010-07-31 01:57)
komakuraさん
完成後に自分のものになると思うと、
リフト上のクルマでもいとおしくなるものです。
走りだすまでも、何回もワックスがけに宇都宮まで通いました(笑)
by 1275GT (2010-07-31 13:45)
sumiさん
nice!ありがとうございます。
by 1275GT (2010-08-21 12:06)
はじめまして、茨城県に住むミニ1000オーナーです。いきなりで失礼ですが、1275GTさんのブロンズイエローのわかるものないでしょうか?
1275GTさんのクラブマンが超かっこよくてしかもブロンズイエローがなんとも気に入ってしまいました。私も全塗装をかんがえてるのですが、どうせなら1275GTさんと同じ色にしたく、図々しいとおもったのですが、おねがいいたしました。是非ご検討よろしくおねがいいたします。
by ランタンMINI (2013-01-18 16:03)
ランタンMINI さん
コメントいただき有難うございます。
我が愛憎の1275GTを褒めて頂き重ねて有難うございます(笑)
あのカラーの基本はたまたま主治医の所にあった、
Mk-Ⅲの純正色を参考に少し“アレンジ”したものです。
文中にもありますがオリジナルよりオレンジが強いです。
従って、全く作った色なのでカラーチャートにもありません。
しかし同じ(ような)色のクラブマンや、エステートも見ましたが、
それぞれと微妙に違ってはいるものの大きくは外れていません。
‘70年代のミニの純正色なので調べられそうですね。
適切な説明ができず、お役に立たず申し訳ありません。
by 1275GT (2013-01-22 12:58)