SSブログ

ミニカーを眺めながら (ラリーの日産) [minicar]

s-DSC05572.jpg
毎日続く猛暑の中、夏バテ気味でなかなか更新もままなりませんが、
取りいだしましたるミニカーを眺めながら、ちょっぴり昔を偲んでみました。
暑さで半熟状態の脳ミソでは、ウィットに富んだ文章なんぞかけるわけもなく、
あ、普段もつまらないからこれは同じだ(笑)
あまりにヲタクな部分は読み飛ばしてくださいね。

一昔前、いやもう三昔も前か、『ラリーの日産』と言われるくらい、日産車はラリーに強かった。
もっとも、舞台はおもに当時一番過酷と言われたサファリ・ラリーが中心だったのだけれども・・・
その灼熱のサファリでも2回勝ち、さらにモンテカルロ・ラリーやRACラリーにも挑戦し、
FR車には不利と言われた雪のモンテで、見事三位入賞を成し遂げたマシンがあったのです。
それが、自分も若き日をともに過ごしたフェアレディ240Zでした。

s-DSC05636.jpg
’69年、4輪独立懸架の足廻りに1600ccのOHCエンジンを積んだ、
当時新型の510ブルーバードSSSで、総合3、5、8位に入りクラス優勝をあげた日産は、
翌’70年、念願の総合1位を取ることができました。
’69年の25号車、’70年の4号車、ともにエブロ。

s-DSC05586.jpg
FAIRLADY STORY

’71年がハイスピードなコース設定と知るや、日産は迷わず2座席のスポーツカー、
フェアレディ240Zを投入したのです。
完走もままならないほどの悪路をこんなスポーツカーで戦えるのか、
と、当時Zにあこがれて、Z貯金なるものをせっせとしていたワタシは思った記憶があります。

s-DSC05593.jpg
サファリ特有の砂埃対策や、悪路に対する振動対策など今までの経験を生かして、
初出場で総合1位を勝ち取りました。
国内の耐久レース等でチューニングの進んだL24は、当時すでに215HPを出していたといわれています。
低回転からトルクのあるこのエンジンは、ラリー向きだったのかも知れませんねぇ。

左上イクソ、左下エブロ、右京商。

s-z11.jpg
座間日産記念車庫にあるこのときの実車は、過酷な走行で結構ボディが痛んでいますが、
このままの状態で保存してほしいです(朽ち果てるのは困りますが)。

s-DSC05605.jpg
作りも三者三様、細かいデティールに差がありますが良く特徴をとらえていますね。

s-DSC05603.jpg
まぁ、ボンネット内まで再現した京商が1番でしょうかね。
ソレックス3連装のL24も良く出来ています。

翌’72年のサファリは荒れたレースで、優勝はフォードに持っていかれましたが、
同じ布陣で挑んだ240Zは5位に入っています。

s-DSC05578.jpg
Racing on No380

’72年のモンテで240Zは3位に入り、グラベルのみならずターマック(しかも雪の)でも速いことを証明しました。
この頃は、ランチアフルビアHF(FF)、アルピーヌルノー(RR)等が活躍していた時代ですから、
フロントヘビーのFRのZが前年の5位に続いて3位に入ったことに、周囲は驚きの目で見たでしょうね。
もっともドライバーはミニでも大活躍した、おなじみのラウノ・アルトーネン、
ナビは後のフェラーリの監督ジャン・トッドだったというのもあったかもしれませんが・・・

s-z5.jpg
日産が保存しているこの時のマシンですが、レプリカというのが通説ですね。

s-DSC05582.jpg
左はエブロ、上はイクソ、右下はノレブです。

s-DSC05591.jpg
FAIRLADY Z STORY

’73のサファリはケニアの英雄、シェッカー・メッタの活躍で1位、2位も日産のブルーバードU1800でした。
サファリはもう日産の独壇場でしたね。

s-safari-1.jpg
座間記念車庫にあるマシンは、フロントが大破したそのままの状態ですが、
当時、ゴール後にライト類を始め左フェンダー等のパーツがなかったために、
規定違反という声が、他チームから上がるほどの満身創痍の勝利でした。

s-DSC05608.jpg
この年のモデルはあまりなくて、イクソが良く作ってくれました(笑)

s-DSC05629.jpg
NostalgicHero No118

この年、L24は2500cc225HPまでチューンされていましたが、
国内では密かにクロスフロー、半球形燃焼室にインジェクションを組み合わせた、
レース用のヘッドが開発され、さらにドライサンプ仕様のR390という新エンジンが、
鈴鹿や富士の耐久レースで盛んにテストを繰り返していました。
実際にこの年のWRCラリーではこの新エンジンを使っていました。

ところがこの年、世に言う第一次オイルショックと国内では排ガス公害の問題が勃発し、
国内メーカーはすべて、レース、ラリーからの撤退を余儀なくされました。
この辺は、リーマンショックでアッという間にF-1をやめてしまったあの時と同じ感じですね。
日本のメーカーの、モータースポーツに対する考え方は今も昔も変わりませんねぇ。

s-DSC05617.jpg
NostalgicHero No118

実は、当時ヨーロッパで戦っていた日産ラリーチームは、
撤退のときに当時のワークスラリーカーを残してきたという事実を知りました。
通常、一時的に国外にクルマを持ち出すときは、カルネナンバーと言って、
ローマ字表記の日本のプレートが付いているのですが、
英国に存在する“元”ワークスZにはそのナンバーが付いているのです。

イクソ、’76ポルトガルラリー。

s-DSC05624.jpg
NostalgicHero No118

しかも、門外不出のはずのLYヘッドまで・・・

s-DSC05634.jpg
NostalgicHero No118

驚いたことに日産は、’70年代の終わりに国内レース用にこのヘッドやエンジンパーツを、
LY-280というスポーツキットとして販売したのです!
これはその価格表の一部ですが、訳あって拡大できません、何となく写っているのをご覧ください(笑)
これは当時、マツダのロータリー勢に勝てなくなっていた、日産の苦肉の策だったのでしょうか。
これで息を吹き返したZは’80年代半ばまでプライベートの手で活躍したのです。
果たしてL28をベースに設定した、LY-280がどのくらい作られたのかは不明ですが・・

s-DSC05625.jpg
NostalgicHero No118

マニアの中にはこのヘッドを手に入れて、自分のZに積んでいる方もいます。
パーツを見つけ出すだけでもかなりの努力と根気が要りますが、

s-DSC05627.jpg
NostalgicHero No118

これを普通のZに積むには、ほとんどの専用パーツが必要です。
全くの新エンジンを積むような技術と知識も必要でしょうね。
でも、いるんですねぇ、こういうことに“命を燃やす”ヒトが・・・(笑)
嬉しくなっちゃいます、きっと街中じゃ乗りづらいんだろうなぁ。

レース仕様の240Zについても少し・・・
s-DSC05647.jpg
s-DSC05639.jpg
FAIRLADY Z STORY

フェアレディZにはレース用の432Rというモデルが存在します。
言わずと知れたGT-Rの心臓S20を積んだモデルですが、
最初からレース用に薄い鉄板で出来ていて、内装も省かれていました。
実際のレースではS20エンジンのメンテナンス費用や振動の問題で、
やがて扱いやすくてパワーの出るL24を積む240Zに移って行きました。
2台とも京商。

s-DSC05648.jpg
s-DSC05651.jpg

3ℓまで拡大されたブロックにLY280ヘッドを組んだ、レース仕様Zの最終型ですね。
このモデルは座間記念車庫にあるレプリカのようですが・・・
エブロ製、したがってエンジンは見られませんね(笑)

当時、どうしてもソレックスキャブ(3連の)を付けたくて、
ディーラー経由でスポーツコーナーに問い合わせたことがあります。
結果は、ナンバーの付いた車両には付けることはできないと、あっさり断られてしまいました(笑)

今なら街のスピードショップで改造車検までやってくれそうなことでも、
排ガス問題で神経質になっていた、メーカー直系のスポーツコーナーが断るのは当たり前でした。
で、クラッチの強化パーツへの交換とリヤスタビの取り付けだけは何とかやってもらいました。
帰ってきたZを見たら、なんとペダルがヒール&トゥーをやりやすいように加工されていました。
さすがぁ・・・もう嬉しくて嬉しくて、クルマ好きな友人を捕まえては自慢していました(笑)
もう何十年も前のことですが、今とやっていることはあまり変わりません(爆)

s-HS-30 01.jpg

やっぱり今でも、もう一度乗ってみたいクルマですね。
nice!(5)  コメント(15)  トラックバック(0) 

nice! 5

コメント 15

ロンツー

私もこのサファリ仕様の240Zが好きですよ〜
子供の頃、タミヤの1/12が欲しくて、欲しくてたまらなかったのですが、高嶺の花でしたから・・
今なら買えるぞ!・・とは、思っているのですが、買いそびれてます。

座間日産記念車庫も行ってみたいですねぇ。
by ロンツー (2010-08-22 20:28) 

komakura

このZやっぱり良いですね♪私もタミヤの1/12のラリーZは2回作りました。
まだ一つ残ってます(笑)ハセガワから1/24で新金型で登場したのも数年前になります。ブルーバードも出ていますよ。
by komakura (2010-08-22 21:38) 

いっぷく

専門書を読んでいるような水準が高い記事で
門外漢の僕にはハードルが高いです。
でも日産が生産した車で一番好きなのはこのフェアレディシリーズの車たちですね。
by いっぷく (2010-08-22 23:17) 

1275GT

ロンツーさん

あの頃は、この艶消しの黒いボンネットがとってもカッコよかったです。
今と違ってWRCはもっと身近な感じがしていましたね。
田宮の1/12プラモ、まだ家のどこかにあるはずです。
もっとも細部は未完成のままだったような・・・(笑)

座間日産記念車庫、残念ながら一般公開はしていません。
団体で、しかるべき手続きをとれば見学できるそうですが・・・
ミニのクラブじゃ駄目だろうなぁ(笑)


by 1275GT (2010-08-23 20:48) 

1275GT

komakuraさん

田宮のキットをそんなにもっているなんて、凄い!(笑)
自分は塗装がうまくいかず、大分イメージと違ってしまいました。
どうもプラモを上手に作るセンスがないようです。
引越しの時、半完成の状態でどこかに行ったままです。

実車の240Zは法外の買い取り値に、つい魔が差してしまいました(笑)
30数年前のことですから、持ちこたえられたかは分かりませんが・・・
by 1275GT (2010-08-23 21:01) 

1275GT

いっぷくさん

自分は、どうもこういうメカの話題に走りがちですね(笑)
したがって文章も硬い説明文になってしまい、
自分で後から読んでみても、あまり面白くありませんねぇ(笑)
しかし、困ったことに、書いてる時はとても楽しいんですが・・・

この最初のZ(S30)は色んな意味で、思い出のクルマなんです。



by 1275GT (2010-08-23 21:15) 

1275GT

3Y5さん

いつもnice!ありがとうございます。
とても励みになります。
by 1275GT (2010-08-23 21:16) 

ちんたん♪

昔話じゃ無く・・・
ごく最近にWRCに参戦したMiniに出会い
触れて、語って来ました(笑)
まだまだ虎視眈々と「次」をねらって準備中のようです
応援したいですね~♪
by ちんたん♪ (2010-08-24 22:53) 

ベアトラック

フェアレディZは、ヤッパリ昔の方が雰囲気ありますね。
by ベアトラック (2010-08-25 20:55) 

1275GT

ちんたん♪さん

今の技術と新しい材質で組んだA型エンジンと、
最新の12インチのSタイヤを履けば、
まだまだミニは速くなるそうです。
弦に筑波のラップタイムだけ見ても、
ここ10年で5~6秒も速くなっています!

4人乗りのファミリーカーとしてももちろん、
“FFのスポーツカー”としても通じるような、
イシゴニスの、最初のマシンレイアウトが素晴らしかったからですね。

でも、状況さえ許せば、この古いハイパワーのFRスポーツを、
もう一度振り回してみたい気がするんですよ(笑)
by 1275GT (2010-08-25 22:11) 

1275GT

ベアトラックさん

初代フェアレディZには、実にたくさんの思い出があります。
われわれの世代が頭に描く理想のスポーツカーでした。
嫌になった訳でもなかったのですが、手放してしまったのが残念です。
ほんの気まぐれで試乗した独車(初代ゴルフ)に、
今までと違う、何かを感じてしまったのです。
以来ずっと独車に乗り続けている所以です。
えっ、ミニはどうなんだって・・・
もちろんこんなに面白いクルマはありません。
23年乗っても、飽きないのですから。

本当は、フェラーリから軽トラまで、クルマはなんでも好きなんです(笑)

by 1275GT (2010-08-25 22:35) 

FALCON

初めまして、偶然こちらに辿り着きました。
自分のZにLY載せてます。
by FALCON (2010-09-23 07:56) 

1275GT

FALCONさん

こちらこそ、はじめまして。
LYヘッド奮闘記、とても興味深く拝見しました。
かなりのパーツを自作するなど、結構な大仕事なんですね。
当時、スポーツコーナーではどのくらいの数を売ったのでしょうかねぇ?
例によって、売れ残りは廃棄されちゃったのかなぁ。
こう言うハナシが大好きなもんで(笑)
これからもよろしくお願いいたします。


by 1275GT (2010-09-23 18:24) 

FALCON

元ワークス関係者に聞いたところでは、カタログには載せたが販売実績は1台も無かったそうです。ですので今有るものは全てレース関係から出た個体です。ちなみに、S30Zに積んで実働状態のものは私が知っている限りでは6台ほど有る様です。
by FALCON (2010-09-23 20:10) 

1275GT

FALCONさん

再度コメントありがとうございます。
元々レース用のパーツですから、個人の方が買って組むとは思えませんが、
実績は1台も無かったんですか!
ワークスのレース、ラリー、それぞれのテストカーにも積まれたでしょうから、
大分“消費”されたのかもしれませんね。
どこかの工場の片隅にLYを積んだS30が残っている・・・
なんて、都市伝説・・・聞きませんもんねぇ(笑)
by 1275GT (2010-09-23 21:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。