ミニカーを眺めながら (アバルトの仕事) [minicar]
今回は“最後のアバルト”と言われたアルファ155V6TIの話です。
相変わらずテキトーなうんちくばかりですが・・・(笑)
最近ヨーロッパの各メーカーは、昔レースやラリーで勝ち取った名声を、
販売実績を上げるのに利用する傾向にありますね。
丸ごとMINIを買い取ったBMWは、SUVにまでクーパーSというグレードを設けるし、
いずれジョンクーパーワークスなんていうのも出るかと思うと、ヲイヲイという感じはしますが・・・
今回ルノーは、満を持してブルーにホワイトのライン2本のゴルディーニを出してきました。
もちろんフィアットもアバルトでのラリー活動やワンメイクレースのマシン製作もしていて、
プントや500にアバルトバージョンがあるのも知ってのとおりです。
’71年にフィアットに吸収されてしまったアバルトは、
もっぱら、フィアット124アバルトや131アバルト等の優秀なラリーマシンを始め、
ランチアベータモンテカルロやLC-1、LC-2でスポーツカーレースを戦い、
やがてランチアデルタで、WRC6連覇という偉業を成し遂げます。
デルタ・インテグラーレも大好きなマシンなので、
この辺も、ミニカーの整理がついたら並べてみたいと思っています。
で、’93年に当時ドイツで人気のあったツーリングカーレース、DTMにレギュレーションの変更があり、
比較的、改造範囲の広いクラス1が出来た事で、フィアットはアバルトの手によるアルファ155を送り込みます。
外観は四角い4ドアセダンですが、フロント部分は全く別のサブフレームに変えられていて、
低くマウントされた2.5ℓV6エンジンは回転制限なしのレースユニットが載っています。
別冊CGツーリングカーバトル’94より
V6エンジンの搭載位置はこんなに低いです。
トラクションコントロールやABS等を装備し、カーボンパーツを纏って、
デルタ・インテグラーレで実績のある4WDシステムまで装備したこのマシンは、
圧倒的な強さでこの年のDTMを制します。
チャンピオンになったニコラ・ラリーニ(いぶし銀の職人です)の記念ボックスです。
手前は不運なヘリコプター事故で右手を負傷し、F1を退いたアレッサンドロ・ナニーニのマシンです。
右手が不自由な彼のために開発された、特殊な2本レバーのシーケンシャルシフトを操って、
ナニーニはこの年2勝を挙げています。
闘志溢れる走りは、ドイツでも人気が高かったと聞きます。
この、ラリーニのチャンピオンマシーンは今は日本にあります。
’94年シーズンはアクティブサスを導入し、エンジンもパワーアップと軽量化を図り、
より戦闘力を増したのですが、ニューマシンを投入したメルセデスに破れてしまいます。
それでもラリーニが総合3位に入って気を吐いています。
ワークスのアルファ・コルセ以外の、プライベーター達の活躍も見逃せませんね。
2ℓ以下のエンジンで争われるDTMクラス2や、イタリア国内選手権にも155は活躍しました。
もちろんこちらは、横置き4気筒のFFです。
’95年はマーティニのカラーリングも一新して、ボディ形状もより洗練されていますね。
8番のラリーニのマシンはプレゼンテーション用のカラーリングで、
実戦では、7番のナニーニと同じカラーリングになりました。
リヤディフィーザーやマフラーの形状にもバラエティがあって面白いですね。
色とりどりのプライベートマシンが揃うのも、ミニカーコレクションの楽しみですね。
’96年はDTMと並行して、ヨーロッパ全土を舞台にしたITCが始まります。
より空力的なボディはフェンダーもワイドになって、155の完成型と言えるかもしれませんね。
ITCはマシンの開発費の高騰や、レース費用の増大等の問題で僅か1年で終わってしまいます。
DTMもアルファの撤退表明等で、一時の人気に陰りが見えてきました。
’96年はオペルがチャンピオンを獲りましたが。ナニーニがしぶとく3位に食い込んでいます。
おなじみ、オレンジのイエガーマイスターカラーもカッコいいですね。
デビュー当時の四角い箱型のイメージからは大分変わってきました。
ここまではすべてミニチャンプス製ですが、ちょっと感じの違うオニクス製もあります。
フロントのスポイラー等もよりアグレッシブルな作りになっていて迫力がありますね。
リアディフィーザーも別パーツで、どことなく凄みがあります。
この4台がオニクス製です。
やはりミニチャンプス製とは、ちょっと違ったアプローチのしかたですね。
アルファロメオ155V6TIを戦いながら熟成していったのは、アルファ・コルセの技術力でしたが、
基本設計、エンジン、ミッション等はまごうかたなきアバルトの仕事です。
何の変哲もないセダンを戦うマシンに変えてしまう、サソリの毒・・・恐るべしですね。
2010-09-23 23:05
nice!(3)
コメント(6)
トラックバック(0)
昨日、得意先の方と過去のF1の話をしていて、ナニーニの話題になったところでした。好きなドライバーだったのですが・・残念でした。
マルティニ=ランチア・・若しくはポルシェのイメージだったので、マルティニカラーを纏ったアルファは不思議な感じです・・というか、ランチアに見えてしまいます。
アルファ・コルセのイメージしかなかったので、プライベートマシンのカラーリングも新鮮に感じますね。
by ロンツー (2010-09-25 08:27)
ロンツーさん
ナニーニ、色男でしたねぇ(笑)
しかし、レガゾーニもそうでしたが、あきらめないのがいいですねぇ。
マルティニは確かにランチアのイメージが強いですね。
長い間、F1、WRC、ルマンとモータースポーツに貢献している姿勢は、
筋の通った見事なもんですねぇ。
デルタは長いこと走っていたので、プライベートマシーンも豊富です。
ミニカーも多くのメーカーが(今も)出していますから、
カラーリングは楽しいですね。
by 1275GT (2010-09-25 09:11)
こういうしっかりとした自分の基準があって集めるミニチュアカーは
私のうんちくも語れない集め方と違って筋が通っていて楽しいですね。
知らないことだらけです。見事なコレクションです。
by いっぷく (2010-09-25 20:18)
いっぷくさん
そんな昔のことでもないのに、もうすっかりわすれてしまって、
改めて古い雑誌を引っ張り出しました(笑)
記憶力は確実に衰えていますね。
この’93年のチャンピオンマシーンは、
一時期山中湖の「ギャラリーアバルト」に展示してありました。
何回も通って、中にあったカフェでカプチーノを楽しんでいたら、
館長が記念にと、私たち夫婦をこのマシンの前で撮ってくれました。
今回、その時の写真も探したんですがねぇ(笑)
by 1275GT (2010-09-26 17:44)
miru2009さん
nice!ありがとうございます。
by 1275GT (2010-10-03 12:44)
ねこざかなさん
nice!有難うございます。
次のアバルトは、ランチア特集でもやりますか。
by 1275GT (2010-11-01 08:43)