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最初のはじまり [MINI]

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スエズ動乱による原油供給の不安と言う英国社会のピンチが、
それから500万台以上も作られた、このちっちゃなクルマが産まれた理由だったなんて・・・
内燃機関が発するCOの危機的な増加に対して、
一時しのぎとはいえバッテリーで走るEVがもてはやされる現代と、あまりにも良く似ていませんか?

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と、言う話はまず置いといて・・・
長年、優れた小型車を作る夢を持っていたイシゴニスにその仕事がまかされた時、
彼の頭の中には画期的なアイディアが泉のごとく湧き出たに違いありません。
しかし当時、BMCのラインナップにあるエンジンやミッションを使って、
あらかじめ決められた要求通りの室内の広さを求めると、こんな長い“ミニ”になりました(笑)
と言うのは冗談で、これはミニより一回り大きな車種も同時に開発されていたんですね。
後にADO17として陽の目を見る試作車です・・・かっこ悪い・・・(笑)
この頃当然彼は、世界初のエンジン横置きFFを閃いていました。

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問題は横置きにしたエンジンとミッションがトレッドの中に収まるか?・・・にかかっていました。
そこで考えたのが短いエンジン・・・2気筒です。
とりあえず適当な排気量のブロックを二つに切ったのがこれです。

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一応ミッションも付けてテストを行ったらしいですが、
盛大な振動に悩まされあっさりボツになります。
もし、優れた2気筒だったら我らがミニは2CVやチンクの仲間になっていたかも・・・(笑)

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ミニの初期の試作車の1台として、良く知られている個体です。
グリルは明らかに、A35のもののようですが、全体のフォルムはもうミニのカタチになっていますね。
エキマニの配置が生産型と逆ですが、キャブレターのアイシングとマフラーの取り回しが問題で、
やがて今の位置に落ち着くまでは、試行錯誤の連続だったと思います。
あの狭い空間に鋳鉄製の重く“熱い”エンジンを納めるのですからね。
もちろん、もうミッションはエンジンの下、オイルパンの中に有ります。

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この試作車は主にボディラインのスタディのようで、写真でも内装が無いのがわかりますね。
このモデルは開発番号XC9003ですが、リヤのデザインが可愛いですね。

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XC9001の車体では4ドアも試みられているんですね。

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製造番号101~103の3台が量産試作車として作られ、
コストダウンのためにパネルを外側のリブで溶接して組み立てる方法等が試されました。
このオープンのスパイダーのようなミニも、元はA/A2S7/102という普通のサルーンでした。
627HUEというレジスターを付けられてテストに供されたあと、ドナルド・ヒーレーに譲られました。
そう、あのオースチンヒーレーのヒーレーです。
ミニをベースにライトスポーツを作る考えがあったようで、そのテストベッドとして使われたのですね。

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この“魅力的”なミニは今は日本にあります。
トランクハンドルの下にヒーレーのエンブレムがあるんですね。

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オーナーのミニマルヤマは国内のイベントにも展示したりするので、
チャンスがあれば仔細に見ることができるのはうれしいですね。

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そして、A/A2S7/103も実は日本にあります!
これは英国でマニアの手で発掘、レストアされた貴重な個体です。

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KEG77というレジスターもそのままに、四国のカントリーガレージと言うショップにあります。
HPに量産車との違う部分等が詳しく書かれています、興味のある方は飛んでくださいね(笑)
ミニはどのように作られたか、まるで生き証人のように大事にされている貴重な宝物ですね。

A/A2S7/101は早い時期にテスト(クラッシュテスト?)で失われてしまっているので、
ただ1台、オリジナルミニのカタチで残る非常に貴重な個体ですね。

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で、ややこしいことに“100”の存在も確認されています。
確かに見にくいですがシリアルは100と読めますね。

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この667GCFというミニマイナーは、英国の「オートカー」と言う雑誌が生産初期の新車を使い、
ヨーロッパ大陸で8000マイルにも及ぶ長距離テストを行った車です。

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紛争下にあったアルジェリアには狭い貨物機のキャビンにミニを押し込み、
何とか入国した貴重なショットも残っています。

大きなトラブルも無く無事帰還したミニマイナーは、メーカーで徹底的に検査をして、
再びテストされる予定でしたが、残念なことに事故に遭ってしまいます。
どうやら後年、このミニは修理されたのちM/A2S4/100と言うシリアルを打たれて、
中古車として売られたのだそうです・・・667GFCというナンバーのままで・・・
この貴重で素晴らしいヒストリーを持つ、極初期のミニマイナーも日本に有るはずです。

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この621AOKはラインオフした生産車第一号として、
とても有名なミニの1台ですね。
今もヘリテージモーターセンターに展示してあります。

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あまりの長きにわたって作り続けられた故、その節目には数々の限定車が作られました。
そんないくつかはミニカーにもなっています。
20周年記念の1100スペシャルです、残念ながらミニカーでしか見たことがありません(笑)

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30周年はミニが何回目かのブームの真っ最中とあって、
ミニサーティーという記念モデルも作られました。

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35周年記念のミニカーですが、フランス輸出仕様なんですかねぇ?
アーモンドグリーンに4個のフォグライトが付いたミニクーパーが売られたのも、35周年でしたね。

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そして惜しまれつつ’99年をもってミニは生産を終了します。
ミニの名前はそのあまりにも大きな財産と共にドイツのメーカーに売られてしまいました。
この写真は、それ以前にローバーが独自に開発中だった次期ミニですが・・・

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どことなく我が家の三菱アイに似ています、複雑な心境ですねぇ(笑)


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NO NAME

ヘリテージモーターセンターに行った事があるんですね♪
僕も一度はこの目で見てみたいな~!
赤いのは初めて見たのが岡山の山中でした(笑)
林道並みの細い道でトランポに追いつくと
このミニが載っかってました、そう遠く岡山県の
山中で足立ナンバーのトラックと足立ナンバーのミニ(爆)
出会いは不思議な物ですね。

by NO NAME (2012-03-11 23:48) 

ベアトラック

人に歴史あり、クルマに歴史あり・・・ですね。
こういうブログを丁寧に書かれる1275GTさんの姿勢は、とても素晴らしいと思います。
by ベアトラック (2012-03-12 06:47) 

1275GT

NO NAME♪さん

そうヘリテージは昔、まだ元気だったジョージと行きました(泣)
名前は忘れましたが、友人だというレーシングドライバーも一緒でした。
展示車に乗り込んじゃって怒られたり・・・面白かったなぁ・・・

岡山?あぁ最近彼はイベントに良く行くみたいですね。
あの赤い275GTBを譲れって、ずっと言い続けているのに、
なかなかいい返事がないんだよねぇ(笑)
あんなに一杯フェラリ持ってるんだから、1台くらいいいじゃないかって、
えっ、何の話かって・・・夢ですよ!夢・・・(爆)
疲れすぎて、また頭のSWが焼けちゃったみたいです(笑)
by 1275GT (2012-03-12 22:57) 

1275GT

ベアトラックさん

まだお若いベアトラックさんには実感がわかないでしょうが(笑)
物忘れ、勘違いの多さは自分ながら嫌になるほどです。
いつも長々と事細かなブログを書くようにしているのは、
脳の退化を少しでも遅らせようともがいているのです(笑)

“とても素晴らしい”なんて言っていただいて・・・
うれしいやら恥ずかしいやら、も少しまめに更新しなくては(笑)
by 1275GT (2012-03-13 00:31) 

ねこざかな

カントリーガレージさんちのA/A2S7/103は、わが県の宝です。
ぜひ一度、実物に会いにきてくださいな~宿はマカセテ。

XC9001の4ドアのリアランプ、えらく未来的(現代的?)な造形ですね。
四駆のクロカン仕様はつくられなかったのでしょうか(ヲイ)
by ねこざかな (2012-03-13 04:30) 

Teru

毎回、情報量&コレクション数&文章力などなどに感服させられております。
僕のところなど、毎回グダグダで......
                  
今、気がついたのですがお近く?の方が♪
僕も一度行ってみなければ!!

by Teru (2012-03-13 15:32) 

1275GT

ねこざかなさん

レストア時に大分手が入っているようですが・・・
103は現存する唯一のオリジナルですからねぇ。
これ1台でごはん3杯は行けそうです(笑)

今のミニカントリーマン(和名クロスオーバー)は、
長さ4105幅1790高さ1550と言う立派な体形です。
どこがミニかと・・・(笑)

どこまで続くロンドンオリンピック記念ミニ・・・ちょっと怖い鴨(爆)

by 1275GT (2012-03-13 20:35) 

1275GT

Teruさん

このブログは、ただいい加減なうんちくや豆知識の寄せ集めで・・・
読んだ後に何も残らないという、とても消化良く出来ているんです(笑)

ワタシもお金と“時間”があったら、ぜひ行ってみたいです。
もちろんリバプールも・・・
あっ、それからパーツも買い漁りたいなぁ・・・(笑)
by 1275GT (2012-03-13 20:53) 

komakura

ギターも車も数々の変遷と歴史がありますね♪

ミニへの愛を感じる記事で、読んでいて楽しいです。
ギターは八方美人の私には、1275GTさまの姿勢に頭が下がる思いです^^;

by komakura (2012-03-14 03:22) 

1275GT

komakuraさん

たまに、ミニもギターと同じように、
当時と全く同じスペックで限定生産されたらどうだろうって・・・

ナンバーを付けないなんていう条件付きじゃなければ、
とても無理な話ですよねぇ(笑)
当たり前ですが、ギターは走らないし、安全ですからね。

でも、オリジナルをドライブしてみたいひと、結構いそうですよねぇ。
850(バンでしたが)に乗ったことがあります。
とても軽快で楽しいクルマでしたよ。
by 1275GT (2012-03-14 21:25) 

JUN

ご無沙汰をしております。
ミニの生まれる前からのGTさんのお話に、つい見入ってしまいました。
今度の筑波には、きれいにして連れていいてあげようっと!

by JUN (2012-03-22 12:44) 

1275GT

JUNさん

お久しぶりです、横浜でのすれ違い以来ですか(笑)
1年後の被災地に行かれたんですね。
3部作、心に染みいるものがありました。

革命的小型車ミニも、計画的に作られたわけではなく、
中東の石油をめぐる事情が生んだ副産物だったのですね。
つまり、今のガソリン高と全く同じことです。
半世紀経っても、同じことが繰り返される・・・
いでよ本当のミニ!!・・・ってBMWのEVか(笑)
by 1275GT (2012-03-22 20:00) 

ひろっぴ

毎度楽しみに読ませていただいています。
ミニオーナーで良かったなあ、としみじみ。
by ひろっぴ (2012-04-07 07:37) 

1275GT

ひろっぴさん

いつも有難うございます。
ミニネタも最近は息切れ気味ですが(笑)
今月末のジャパンミニディあたりから、本格始動です。
もっとも、色々興味がありすぎてなかなかミニが出てきませんが(笑)
by 1275GT (2012-04-09 12:41) 

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